【住宅ローンの返済方法】の目次です

返済期間の決め方とは その1
返済期間を決めるのも、堅実な資金計画づくりに欠かせない要素のひとつです。
返済期間は、ローンの種類ごとに、最長期間が決まっています。
公庫融資は、物件の種類や築年数によって異なりますが、新築マンションなら最長35年です。
民間融資は、物件に関わらず一般的に最長35年となっています。
公庫も民間も、完済時の年齢上限(70歳〜80歳くらいまでが一般的)が定められており、年齢によっては最長の返済期間より短い期間でしか借りられないこともあります。
よく住宅の広告などに返済例が掲載されていますが、通常は、最長の35年返済のケースが紹介されています。
それはなぜか?
返済期間が長いほど毎月の返済が少なくなるので、広告を見た人が、「これなら買えそう」という気になるからです。
買い手の購買意欲をそそる手段であると考えればよいでしょう^^。
返済期間の決め方とは その2
例えば、金利2.5%、ボーナス併用返済なしの場合、
3000万円を30年返済で借りれば、毎月返済額は11万8536円になります。
これが35年返済ですと、10万7249円となり、毎月の返済額は、かなりお安くなります。
また、返済期間の長さは、借入可能額にも影響します。
たとえば毎月10万円の返済が可能な場合、35年返済では2790万円借りられるのに対し、30年返済では2530万円しか借りられません。
特に公庫の場合、返済月額が月収の5分の1に収まる範囲までしか借りられないため、短期では希望額が借りられないということもありえます。
理想的な返済期間とは
返済期間が長くなればなるほど、たしかに毎月の返済金額はおさえられますが、その分、利息が膨らみます。
実は、利息負担の面から考えると、
短期のほうがおトクなのです。
例えば、金利2.5%、ボーナス返済なしで、 同じ3000万円を借りる場合、
35年返済の総返済額は約4504万円になります。
対して30年返済の総返済額は約4267万円で、
これは、約237万円も少なくなる計算になります。
ほとんどのローンは1年刻みで返済期間を決めることが可能ですので、やはり希望額を借りられる範囲で短めに組むということがベストの選択のようです。
返済完了期間について
住宅ローンの返済は、定年までに完了させることが望ましいようです。
まあ、たしかに、定年後も返済するのは、かなりキツイですものね。
誰しも定年後は、悠々自適に暮らしたいものです^^
返済期間は、(定年の年齢)−(購入時の年齢)が、基本となります。定年が60歳の場合、35歳で購入すると、60−35=25で、25年が返済期間となります。
しかし、実際にはそんな短い期間では借りられない(返せない)というケースも出てくるかもしれません。
その場合は、(定年の年齢)−(購入時の年齢)に、さらにプラスした期間を設けなければいけません。
プラスした分は、定年後も残ることになりますから、繰り上げ返済などをして、完済を早める必要が出てきます。
※ワンポイント用語解説 繰上げ返済とは?
返済中のローンについて、通常の返済額とは別に、ローン残高の全額または一部を返済することです。
「全部繰上返済」は、ローン残高の全部を返済期間途中で返してしまうことで、
「一部繰上返済」は、残高の一部を臨時に返済することです。
どちらも、ローン残高がなくなる、あるいは、減少するので、支払利息を一気に減らせる効果があります。
さらに、「一部繰上返済」には、「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2種類があります。
「期間短縮型」は、現在の毎回の返済額を変えずに、残りの返済期間を短くする方法で、ローン残高を減らすことによって、何回分かの返済がカットされ、カットされた回数分の支払利息が節約されることになります。
「期間短縮型」の方が、支払利息の軽減効果が高いといわれています。
元利均等返済とは
元利均等返済とは、
毎月の返済額(元金+利息)が一定している返済方法です。
返済額は、最後まで変わりません。
(実際には金利の見直しと共に5年に1度返済額の見直しが行われます。)
元金返済部分は返済開始当初の金額は少なく、返済が進むにつれて多くなります。
これに対し、利息部分は、返済開始当初は金額が多く、返済が進むにつれて金額が少
なくなります。
毎月の返済額が同金額であるため、長期に渡る資金計画が立てやすくなりますが、
返済総額が多くなってしまうという難点があります。
元利均等返済と元金均等返済 それぞれのメリット、デメリット
元利均等は、毎回の返済額が一定ですので、返済計画が立てやすく、家計が安定しやすい、元金均等に比べ、当初の返済負担が抑えられる、などのメリットがあります。
元金均等は、当初の返済負担が大きくくなりますが、次第に返済額が減っていくため、あとあとラクになります。
利息負担について比較してみますと、
例えば、3000万円を金利3%、30年返済で借り入れた場合、元利均等なら利息の総額は約1553万円になります。
これに対し、元金均等では約1354万円になります。
元金均等のほうが、約200万円ほど利息が少なくなるわけです。
ただし、元金均等は、当初の返済負担が大きいという難点があります。
次第に減っていくとはいえ、元利均等返済した場合の返済額を下回るまでには、相当の年数がかかってしまいます。また返済負担が大きい時期も長く続きます。
3000万円を金利3%、30年返済で借り入れた場合、元利均等の返済額を下回るのは154回目(12年10ヶ月後)になります。
仮に、教育費がかさむ時期などに、ちょうどよいタイミングで、返済額の負担が軽減される時期が来る場合などには、元金均等返済は大変有効です。
しかし、共働き家庭で、今はたくさん返せるけれど、途中で奥さんの出産・育児などで、奥さんの収入が見込めなくなった場合、安易に元金均等を選ぶと、返済負担が重い時期が長引くため、返済が厳しくなることも考えられます。
このような場合は、元利均等返済にし、収入が多い時期に繰り上げ返済などを行なうことで利息負担を抑える方法が安心かもしれません。
。
ボーナス併用返済について
住宅ローンの返済方法には、元利金等返済や元金均等返済のほかに、ボーナス併用返済があります。
ボーナス併用返済とは、毎月の返済に加えてボーナス月に、毎月の返済分とボーナス返済分の合計額を返済する方法です。
多くの金融機関では、ボーナス返済できる分を借入額の50%まで、一部金融機関では40%までに制限しています。
新築マンションの広告などでは、月々の返済額を少なく見せるために、ボーナス返済分を小さく表示している場合があります。
毎月の返済月額とボーナス返済額の関係がどうなっているのか、しっかり把握しておきましょう。
例えば、3000万円を金利3%、30年返済で借り入れた場合、毎月返済のみなら返済月額は12万6481円になります。
借入額の2割をボーナス返済にすると、返済月額は10万1184円となり、毎月の負担は2万5000円以上軽くなります。
そのかわりに、ボーナス月は、毎月の返済に加えて15万2360円を返済する必要があります。
総返済額を比べると、毎月返済のみの場合が約4553万円なのに対し、2割をボーナス返済にした場合は、約4557万円となります。毎月返済のみの方、約4万円おトクになるのです。
ボーナス返済の場合、6カ月分を後払いするような仕組みになるためで、ボーナス返済の割合が高くなるほど、総返済額は多くなります。
また、ボーナスは業績などに左右される不安定な収入ですから、ボーナスに頼り過ぎるのは危険です。
最近の傾向としては、ここ数年の景気低迷の影響もあり、ボーナス併用返済をせず、毎月返済のみにしている人が増えているようです。
ボーナス併用返済 上手な利用法とは
前述したように、ボーナス返済に頼りすぎるのは危険ですが、ボーナス併用返済を上手に活用する方法もあります。
前回ご紹介した例(借入金3000万円、金利3%)では、毎月返済のみの場合も、ボーナス併用の場合も同じ、返済期間を30年と同じにして計算したのですが、これが、返済期間を変えて試算した場合は、以下のようになります。
例えば、3000万円のうち、1割をボーナス返済に回したとして、
返済月額を毎月返済のみの場合と同程度(12万6481円)にすると、返済期間は26年に短縮されます。ちなみに、ボーナス返済の額は8万3498円です。
このように、ボーナス併用返済を利用することにより、返済期間を4年短縮することができます。
返済期間が短いほど利息負担は軽減されるので、毎月返済のみ(返済期間30年)に比べて227万円以上総返済額を減らせることになるわけです。
ボーナス併用返済はやっぱり不安、という場合は、ボーナス併用するつもりで貯蓄をし、繰り上げ返済で返済期間の短縮を図る、という方法もあるようです。
元金据え置き返済方法とは
返済方法には、元利均等返済、元金均等返済、ボーナス併用返済のほかにも、様々なバリエーションが用意されています。
たとえば、一部の都市銀行などの金融機関で扱われているのが、当初1年間の元金据え置き返済という返済方法です。
元金据え置き返済とは、元金の返済をせず、利息だけを返済していくというものです。
通常、返済額には元金と利息が含まれていますが、元金据え置き返済の場合に返済するのは利息だけですので、返済額が軽減されます。
例えば、3000万円を金利3%・30年返済で借り入れた場合、
当初1年間を元金据え置き返済とした場合、1年目の返済月額は7万5000円。ちなみに、元利金等返済の場合の返済月額は、12万6481円ですので、通常の返済より5万円以上軽減されます。
ただし、元金据え置き返済の場合、返済しても元金は減りませんから、利息が減らないので、1年間は残債額が変わらないです。
通常の返済の場合、1年後の残債は63万円減って2937万円になります。
しかし、元金据え置き返済の場合、1年経過しても、残債額は3000万円のままです。
返済期間が延びるわけではありませんから、残りの期間は通常より返済負担が重くなってしまいます。。総返済額も元金据え置き返済のほうが多くなります。
固定金利選択型や変動型などの金利上昇リスクがある場合、残債が多いほど金利上昇に伴い返済額の増え幅も広くなります。
では、元金据え置き返済は、いったいどのような場合に活用されるのでしょうか?
例えば、マイホームに入居した当初は、家具の購入や住宅環境の整備など、何かとお金がかかります。また、預貯金を頭金に充ててしまったりして、手持ち資金が乏しくなりがりです。そこで、当初1年間の返済額を少なくしくした分を、こうした生活を整えるための資金に充てたい場合に、元金据え置き返済方法が有効になるのです。
また、まさかの災害に遭ってしまった時の当座の住宅再生などのために活用される場合や返済中に、リストラや倒産、失業などで、返済が苦しくなった場合、一時的な救済措置として元金据え置き返済が認められるケースもあるようです。
いずれにしても、元金据え置きでは元金の返済が進みませんから、特に上記のような、やむをえない事情がある場合以外には、あまり積極的にはオススメできない方法といえるでしょう。
返済額指定サービスとは
各金融機関独自のユニークな返済方法も用意されています。
例えば、みずほ銀行の返済額指定サービスは、返済額を最長5年、減額または増額できる、というサービスです。
返済額を減額すると、返済が遅れて利息負担が増えますので、なるべくなら利用しない方が望ましいのですが、返済が一時的に苦しくなる場合など、いざという時に減額できるというメリットがあります。
逆に返済額を増額したばあい、増額した分が全て元金の返済に充てられるので、毎月、繰り上げ返済をしているのと同様の効果を得ることができます。
例えば、お子さんの教育費がかさんだり、生活費にゆとりがない時期だけ返済額を減額し、逆に資金的に余裕ができ時に、増額することも可能です。
このサービスを上手に使って返済額を増額すれば、低金利のうちにローンを早めに減らすことができます。
返済期間を短く組んだ場合も同様の効果が得られますが、一度短期で組んでしまうと、後から返済期間を延ばすのは難しくなります。
それに対して、返済額指定サービスの場合、返済期間を変えずに返済額を増額できるので、指定期間が終われば通常の返済額に戻すこともできます。
親子リレー返済とは
親子リレー返済とは、文字通り、親の債務を、将来子供が引き継ぐ方法で、公庫やいくつかの民間金融機関で取り扱われています。
たとえば公庫では、親子リレー返済なら70歳以上の人でも申し込むことが可能で、後継者の年齢によって返済期間を決めることができます。
民間金融機関では、通常75〜80歳未満で完済する必要がありますが、親子リレー返済なら高齢でも最長35年返済が可能です。(また、親子や夫婦など家族で債務を分担して借入額を増やすことができる家族ペア返済という方法もあります。)
60歳未満の親が子と親子リレー返済をする場合、どちらでも団体信用生命保険に加入できます。
ただし、団体信用保険の脱退年齢は、80歳ですので、親が加入しても、80歳を超えれば団信の制度はなくなります。
また、親子リレー返済で、子供が連帯債務者となっている場合、子供が別居して独立してマイホームを作りたい時に、公庫融資は利用できなくなります。
※ワンポイント用語解説 団体信用保険とは?
団体信用生命保険(通称「団信」)は、債務者が、住宅ローンの返済途中で死亡あるいは高度障害になった場合に、本人に代わって生命保険会社が住宅ローン残高を支払う制度です。
もし加入していない場合に、債務者に万一のことが起こったら、残された家族が、債務を背負わなければなりません。マイホームに安心して住み続けるために、団信は欠かせませんね。
繰上げ返済とは
繰り上げ返済とは、毎月の返済に加え、先々の返済予定分を、前倒しで返済することです。
繰り上げ返済分は、全て元金の返済に充てられるため、その分の利息がなくなる、という効果が得られ、お得になります。
繰り上げ返済には、「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2通りの方法があります。
期間短縮型は、その後の返済額は変えずに、返済期間を短くするタイプ
返済額軽減型は、返済期間は変えずに、その後の返済額を少なくするタイプ
です。
例えば、 3000万円を金利3%、35年返済で借り入れた場合で試算してみますと、
毎月の返済額は11万5455円になります。
5年後に約101万円を繰り上げ返済すると、
期間短縮型では、21回分(1年9カ月)、完済時期が早まり、約141万円の利息を軽減できます。
返済額軽減型では、繰り上げ返済以降の毎月返済額は11万1188円となり、毎月約4300円負担が軽くなります。約52万円の利息を軽減できます。
上記から、利息軽減効果が大きいのは、期間短縮型であるということがわかります。
それでは、繰り上げ返済はいつ頃行えばよいのでしょうか?
やはり、「早ければ早いほど」お得であるといえます。
例えば、借入額1,000万円、年利3.0%、35年返済(元利均等返済)の条件で、1年後に、期間短縮型で100万円を繰り上げ返済しますと、
軽減される利息は161万円になります。
これを10年後に実行すると、軽減される利息は、97万円になります。
10年で63万円の差が出てしまうことになるわけです。
繰上げ返済の優先順位とは
複数の住宅ローンを利用している場合、どのような順序で返していけばよいのか
すなわち、繰上げ返済の優先順位についての参考例をご紹介しましょう。
優先順位 1
金利の高いローン
繰上げ返済した場合に、利息の軽減効果が大きく、総返済額を早く減らせます。
優先順位 2
変動金利のローン
現在のような低金利状態が、いつまでも継続するかどうかは不確かです。変動金利ローンの場合、将来、金利が上昇した時に、返済額がアップしてしまう恐れもあります。
優先順位 3
返済期間の長いもの
返済が定年退職後まで続いているようなローンは、最後までローンを返済できるかどうかやはり不安ですので、繰上げ返済で返せるうちに返しておくのがベターでしょう。
優先順位 4
借入額の多いもの
11年目以降に金利が上昇する住宅金融公庫の「段階金利制度」などを利用している場合には、総返済額が大幅に軽減され、有利になります。
実際は、金利動向の見通しや将来に対する考え方等によって、繰上げ返済の効果を最大限に活かせる順序は変わってきます。
総合的に判断して、自分にいちばん適した順位をお決めになってくださいね。
ご参考までに
数値を入力するだけで、繰り上げ返済がシュミレーションできる新生銀行のホームページをご紹介しておきますね。
こちらです。→http://www.shinseibank.com/powerflex/housing/simulation/kuriage1.html