【借り換えについて学びましょう】の目次です

借り換えの基本ポイントとは
借り換えは、今まで借りていたローンを一括で返済し、新たにローンを組むというシステムです。
1990年代のいわゆるバブル期に、長期固定の住宅ローンを借りた場合、住宅ローンの金利が5〜6%ということも珍しくありません。
これらのローンは、現在と比べて、金利水準が高いため、高い利息を支払っていることになります。
金利水準が低い今なら、借り換えは、大変有効な方法といえるでしょう。
すなわち、毎月の返済額を減らせるので家計収支が改善できますし、利息の支払いも減るので、ローンの総返済額を減らせます。
ここでは、「借り換え」についての基本ポイントをご紹介しましょう。
● .借り換えのパターン
大きく以下の2つのパターンに分けることができます。
1 住宅金融公庫や年金融資などの公的融資 から 銀行などの民間住宅ローンに借り換える場合
2 民間住宅ローン → 民間住宅ローン
民間から、公的融資への借り換えは、できません。
●. 借り換えにかかる諸費用
基本的には新規の申込みの際と同じように、借り換えのための諸費用がいろいろと必要になってきます。
必要な諸費用は以下のようになります。
1 借り換え前のローンの抵当権抹消費用
2 登録免許税((借り換え後のローンの抵当権設定費用、税額は、債権金額の1000分の4)
3 司法書士手数料(通常、設定する債権金額により変動します)
4 ローンの保証料、事務手数料
5 印紙税
6 火災保険料
があります。
諸費用の総額は、ローンの残債や各金融機関ごとによって異なります
(借り換えするローンの残高が1,000万円あった場合、20〜30万円程度必要になります。)
借り換えの目安とは
それではいったいどのような場合に、借り換えをするとお得になるのでしょうか?
一般的には、ローン残高1000万円以上、返済残期間10年以上、借り換え前と借り換後の金利差1%以上が目安となっているようです。
返済期間や残高によっては、借り替えても返済額がさほど減らず、借り換えに伴う諸費用の方が高くついてしまい、かえって損になる場合もあります
既に組んでいる住宅ローンの内容にもよりますが、たとえば住宅ローンの残高が1,000万円以下であっても、金利差が2%以上ある時などは、借り換えが有効となる場合もあります。
借り換えをしたらどれくらいメリットがあるのか、シミュレーションしてみてはいかがでしょう。
シミュレーション・プログラムを無料で提供しているサイトも多いので参考にされるとよいでしょう。
借り換えの方法とは?
「借り換え」には、大きく分けて2つの方法があります。
それは
「返済額軽減型」と「返済期間短縮型」です。
返済額軽減型
新しい住宅ローンに借り換えたときに、当初の住宅ローンの残存期間と同じ期間で組み直す方法です。
返済期間短縮型
新しい住宅ローンに借り換えたときに、当初の住宅ローンの残存期間よりも短い期間で組み直す方法です。
では、それぞれの方法で借り換えた場合、どれくらいの効果があるのでしょうか?
次回で、借入額3,000万円、借入期間30年、元利均等払い(ボーナス返済なし)、金利4%の住宅ローンのケースで検証してみましょう。
借り換えシュミレーション 返済額軽減型の場合
前回、ご紹介しましたように、返済額軽減型は、新しい住宅ローンに借り換えた際、
当初の住宅ローンの残存期間と同じ期間で組み直す方法です。
では、固定金利4%のローンを、「返済額軽減型」で、
固定金利3%のローンに
借り換えた場合、いったいどれくらいの効果を得ることができるのか、
固定金利4%、借入額3,000万円、借入期間30年、元利均等払い(ボーナス返済なし)の
住宅ローンを例に挙げ試算してみましょう。
当初ローン(借り換えをせずにそのままローンを続けた場合)
毎月の返済額は、 143,224円
年間の返済額は、 1718,688円
30年間の総返済額 は、51,560,640円
になります。
5年後に固定金利3%・返済期間25年で借り替えた場合
毎月の返済額は、128,653円(当初ローン比▲14,571円)
年間の返済額は、1,543,836円(当初ローン比▲174,852円)
総返済額は、42,189,340円(当初ローン比▲4,371,300円)
になります。
10年後に固定金利3%・返済期間20年で借り替えた場合
毎月の返済額 135,321円(当初ローン比▲25,725円)
年間の返済額 1,623,852円(当初ローン比▲308,700円 )
総返済額 51,802,560円(当初ローン比▲6,174,000円)
になります。
以上のことから、途中で金利の低いローンに借り換えることによって、総返済額を大きく減らせることが分かります。
また、当初のローン金利と新しく借り換えたローン金利の差が大きければ大きいほど、借り換えの効果が大きくなります。
さらに、借り換え時期が早ければ早いほど、効果が大きくなります。
「返済額軽減型」の場合、ローン金利の差が大きければ大きいほど、また、借り換えの時期が早ければ早いほど、高い効果が得られます。
借り換えシュミレーション 期間短縮型の場合
返済期間短縮型は、新しい住宅ローンに借り換えた際、
当初の住宅ローンの残存期間よりも短い期間で組み直す方法です。
5年後に固定金利3%の「期間短縮型」に借り替えた場合、どのような効果が得られるのでしょうか?
返済期間を22年(3年短縮)と20年(5年短縮)のそれぞれの場合について、
固定金利5%、借入額3,000万円、借入期間30年、元利均等払い(ボーナス返済なし)の
住宅ローンを例に挙げ試算してみましょう
当初ローン(借り替えずそのまま返済を続けた場合)
毎月の返済額は、 161,046円
年間の返済額は、 1,932,552円
総返済額は、 57,976,560円
と、なります。
5年後に固定金利3%・返済期間22年(3年短縮)で借り替えた場合
毎月の返済額は、 142,680円(当初ローン比▲18,366円)
年間の返済額は、 1,712,160円(当初ローン比▲220,392円 )
総返済額は、 47,330,280円(当初ローン比▲10,646,280円 )
と、なります。
5年後に固定金利3%・返済期間20年(5年短縮)で借り替えた場合
毎月の返済額は、152,791円(当初ローン比▲8,255円)
年間の返済額は、 1,833,492円(当初ローン比▲99,060円 )
総返済額は、46,332,600円(当初ローン比▲11,643,960円)
と、なります。
以上のことから、返済期間を短縮した場合、毎月の返済額が増えてしまうこともありますが、
総返済額では、どちらの場合も大きく減らせることは明らかです。
また、同じ金利の場合、
返済期間を短縮すればするほど、高い効果を得られることがわかります。
「期間短縮型」の場合、ローン金利の差が大きければ大きいほど、また返済期間を短縮すればするほど高い効果を得ることができます。
参考までに、数値を入力するだけで、借り換えのシュミレーションができるページをご紹介しておきますね。
新生銀行
http://www.shinseibank.com/powerflex/housing/simulation/karikae1.html
みずほ銀行
http://www.mizuhobank.co.jp/cgi-bin/loan/refinance.cgi
「返済金額軽減型」VS「期間短縮型」とは
実際に借り換えを検討する場合、
「返済金額軽減型」と「期間短縮型」の、いったいどちらを選べばよいのでしょう?
それぞれのメリット、デメリットについてご紹介しますと、
返済金額軽減型のメリットは、
毎月の返済額と総返済額が減らせるという点です。
デメリットとして、期間短縮型と比べると総返済額は多めになってしまうことが挙げられます。
期間短縮型のメリットは、
なんといっても、総返済額を大幅に減らせることです。
デメリットとして、毎月の返済額が増えてしまうことが挙げられます。
しかしながら、
返済金額軽減型と期間短縮型のどちらを選んでも、総返済額を減らすことができます。
このことは、借り換えの最大の魅力といえるでしょう。
返済金額軽減型を選べば、毎月の返済額は減らせますが、期間短縮型に比べて総返済額は多くなります。
それに対して、期間短縮型を選べば、毎月の返済額は増えてしまうこともありますが、総返済額では返済金額軽減型に比べて少なくなります。
どちらを選ぶかは、ご自分のライフプランと借り換えた後の返済額を照らし合わせて、どちらが自分に適しているか判断して決定することが望ましいです。
たとえば、毎月の返済額に負担を感じる場合や、毎月の返済額を減らしてゆとりを持ちたい場合なら、毎月の返済額の負担が軽くなる「返済金額軽減型」が適していると思います。
また、家計に余裕があって、早く返済を終えたいという場合、「期間短縮型」を選ばれるとよいと思います。