自治体融資とは
自治体融資は、都道府県や市町村が申込窓口になっています。
その自治体の地域に、一定期間以上、居住または勤務していること、利用者が設定している収入の上限内になること、などが利用条件となっています。
「自治体の助成」という形の融資制度になっており、自治体によって助成の方法が異なります。
・自治体の年度予算から利用者に直接融資する直接融資
・指定の金融機関をあっせんし、自治体が金利の一部を負担する融資あっせん
・指定の金融機関を利用すれば、金利の一定割合を利用者に補給する利子補給
などの助成が行われています。
かつての「自治体融資」は、公庫資金を補う性質のものであったようです。そのため、「公庫融資」を利用することが融資の前提となっているケースが多かったようですが、「公庫融資」の廃止(2007年3月末)に合わせて、制度の内容も大きく見直されつつあるようです。
「自治体融資」の内容は、より地域の実情や実態に即したものになっており、たとえば、
防災および耐震対策を重視した街づくり
住宅のバリアフリー化やアスベスト対策など福祉・環境政策、
少子化や過疎化など人口対策、
地域産業の育成・振興
など、各自治体の重点的な政策が反映されるような形になっています。
例えば、東京都の場合、以前は「東京都個人住宅建設資金融資あっせん・マイホーム資金」という名称で、単に建設や購入を対象にした融資を行っていましたが、
最近では「東京都個人住宅利子補給制度」として、木造住宅密集地域内で既存住宅の耐火・準耐火構造住宅への建て替えを誘導するような内容に変わってきています。
東京都にはこのほか、「とうきょうの森の家」といった優遇融資制度も用意されています。
これは、多摩産材を活用した住宅供給を促進する目的で創設された制度で、利用者には、指定の金融機関の優遇金利を受けられます。
東京都でも市区になると、バリアフリー化や耐震化へのリフォームにポイントをおいたものや、屋上緑化や生垣造園工事を助成するもの、アスベスト除去工事を助成するものなど、実にさまざまな内容の助成制度が用意されています。
「自治体融資」を上手に利用するためのポイント
・利用できる条件のチェック
自治体内に居住または勤務している人が対象となっているケースがメインなのですが、中には地域の住民の人口を増やす目的で、地域外の人でも制度を利用できるようにしているところもあります。
・お得度のチェック
「融資あっせん」「利子補給」といった形で利子負担の一部を助成する自治体が多いようですが、たとえ一部であっても、トータルするとかなりおトクになりますので、要チェックです。ただし、「おトク度」は、自治体によって差があるようです。制度を利用できるかどうかも含めて、検討されるとよいでしょう。
・ホームページの更新時期や募集時期などをチェック
「自治体融資」の場合、新年度がスタートする4月時点では、新しい融資内容がまだ確定していないことが多く、5.6月になってようやくホームページで公開されるというケースもあります。
最近の「自治体融資」は、内容が大幅に変更されることも多いので、利用を検討している人は、募集時期も含めて、担当部署に内容を問い合わせておくことが望ましいでしょう。
・ほかのローンとの組み合わせをチェック
ほかのローンも利用する場合、どのようなローンとの組み合わせが可能かをチェックすることが大切です。
特に、低利の長期固定金利の「フラット35」との組み合わせが可能かどうかをチェックしておくことをオススメします。
また、融資制度なのか、助成金あるいは補助金制度なのか、その違いも確認する必要があります。助成金・補助金制度だった場合、利用できる額は少額になることが多いです。
・自治体の地域性を生かしたものをチェック
最近の「自治体融資」は、より地域の実情を反映した政策としての意味合いが強くなっており、そうした特徴を備えた融資ないし助成制度を利用するのが「おトク度アップ」につながるといえるかもしれません。
利用資格や条件は、それぞれの自治体によって異なりますが、
「購入(建築)を予定している物件がある地域に、一定期間以上居住(勤務)していること」、「一定の収入以下の人(あまり収入の多い人も不可)」、「住民税を滞納していないこと」などの条件を定めている自治体が多いようです。